「イボ」について

2017年09月20日

「イボ」は、皮膚の比較的小さな出来物を意味する俗語です、専門的には疣贅(ゆうぜい)と言います。我々皮膚科医がイボというと一般的にはウイルス感染によるイボである「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」のことを指します。しかし、みなさんがイボと思っているものの中には加齢に伴うイボ(老人性疣贅)やホクロ、タコ、ウオノメなどに加え、良性腫瘍または悪性腫瘍も含まれるので専門医による診断が必要です。今回は最も一般的なイボである「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」についてお話します。

症 状: 「尋常性疣贅」の「尋常」は「ふつう」という意味ですので、「ふつうのイボ」という意味です。皮膚より突出してドーム状に盛り上がり、徐々に大きくなります。表面はザラザラして赤黒っぽい点々がみられることがあります。時間がたつと周囲に感染して徐々に数が増えていきます。全身のどの部位でも発症しますが、多くはひざや手足にできます。通常、痛みかゆみなどの自覚症状はありません。
足の裏に出来たものは特に「足底疣贅」とよばれます。しばしば「タコ」、「ウオノメ」と勘違いされて放置されていることがあります。足の皮膚は角質が厚く、また歩行によりイボが皮膚内部に押し込められるため、治療に抵抗性で治りにくいのが特徴です。

原 因: 「ヒト乳頭腫ウイルス」というウイルスが皮膚に感染してできます。このウイルスは日常生活空間のなかに無数に存在するといわれていますが、正常な皮膚には感染することはなく、ささくれや引っ掻き傷のような小さな傷から入り込んできて感染すると考えられています。

治 療: イボの治療は基本は「液体窒素」による冷凍療法です。-196℃の液体窒素を綿球にしみ込ませてあてるか、専用の器具で噴霧してイボを冷凍凝固します。当院では専用器具による噴霧法を行っております。液体窒素で冷凍凝固されたイボの細胞は破壊され、炎症がおきてさらにイボが縮小します。多くのイボがこの液体窒素療法を数回行うことで治療が可能です。
しかし、長期間放置されたイボや足底、指先など角質が厚い部分のイボはとても頑固で治療に抵抗して治るまでに長期間かかります。これらの難治性のイボに対しての治療法は、正直にいって我々皮膚科医も苦労して話題になることが少なくありません。確実な方法はありませんが、効果を期待できる方法をあげておきます。
① 炭酸ガスレーザー: 局所麻酔を行った上でイボをレーザーで焼きとります。イボを取り残すと再発する可能性と傷が残るリスクがあります。保険適応はありません。
② イボはぎ手術: 局所麻酔を行なった上でイボをメスやハサミではぎとります。イボを取り残すと再発する可能性と傷が残るリスクがあります。
③ オキサロール軟膏外用: 角化症治療薬のオキサロールを塗ってサランラップ等で密封します。単独では効果が弱いので液体窒素を併用します。
④ ヨクイニン内服: 漢方薬であるハトムギエキスを内服する。
⑤ その他にシメチジン内服、スピール膏外用、モノ/トリクロル酢酸外用、グルタルアルデヒド外用、フェノール外用、レチノイド外用、5-FU軟膏外用、ポドフィリン外用、イミキモド外用、ブレオマイシン局注などがあります。
どの治療が最適かは、イボの大きさや部位、本人のライフスタイルまで考慮した上で医師と相談して決めると良いでしょう。

難治性のイボは気になるやっかいものですが、治らないイボはありません。大きい多数のイボが治療を続けていくうちに急激に消えていくことはめずらしいことではありません。この様な現象は治療を続けていく過程で患者さんご本人の免疫力にある種のスイッチが入って、イボ細胞を攻撃することによるものと想定されています。どんな頑固なイボもあきらめず、あせらず、根気よく治療を続けてください。